集団的自衛権の行使とは、海外で戦争すること

                                     (憲法を生かす会 ・、筑紫建彦)

集団的自衛権とは
@ 「密接な関係にある他国」に武力攻撃が行われた場合に、
A 自国が攻撃されていないにもかかわらず、自国への攻撃とみなし、
B その攻撃を武力で撃退、排除することができる“権利”、とされる。
*国連憲章51条で初めて登場。ただし「安保理が必要な措置をとるまでの間」だけ認めるもの。
*憲法9条「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、・・永久に放棄する。」
*1972年政府見解「わが国は国際法上いわゆる集団的自衛権を有しているとしても、これを行使することは、憲法の容認する自衛の措置の限界をこえるものであって許されない」「他国に加えられた武力攻撃を阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、憲法上許されない。」
「密接な関係」のワナ−− 「同盟国」に限らず、事実上、無制限に拡大できる。
集団的自衛権のジレンマ−− すでに1948年に米の国際法学者ハンス・ケルゼンが指摘(別紙)。
「集団的自衛権の行使」として安保理に報告された武力行使の事例(別紙)

●閣議決定の“新三要件”
@ (我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は)我が何と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
A これを排除し、我が国の存立を全うし、何代を守るために他に適当な手段がないこと
B 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
安倍首相「石油や食糧の輸入が途絶えたら、何の存立も国民の生命、幸福追求も脅かさかる 生命、自由、幸福追求権は憲法13条で“最大の尊重が必要”とされ、武力行使は憲法に沿うものだ」
新三要件を満たすと判断した根拠情報は、「特定秘密」として政府の管理にも提供拒否が可能

●まやかしの「15事例」(政府が与党協議に提示)
T.武力行使に至らない侵害への対処(いわゆろ「グレー、ゾーン事態」〉
@ 離島等における不法行為への対処−− 「等」には本土も含む 下令・手続きの簡略可は拙速化。
A 公海上で訓練などを実施中の自衛隊が遭遇した不法行為への対処−− 偶然、海賊や密輸に遭遇?
B 弾道ミサイル発射警戒時の米艦防衛(武力攻撃は未発生、発射の徴候の時)−− 集団的自衛権行使!
(参考)領海内で潜没航行する外国の軍用潜水艦への対処− ややこしいので「事例」から格下げ。
U.国連PKOを含む国際協力等
C 侵略行為に対抗するための国際協力としての)支援−− 軍事制裁、多国籍軍への参加は武力行使!
D 駆けつけ警護−− 「武装集団」の識別困難。軍によるNGO支援はNGOにとって逆効果。
E 任務遂行のための武器使用−− 自衛隊が武力紛争に介入。
F 領域国の同意に基づく邦人救出−− 「テロ」の定義不明。武力での退避は政府の怠慢・失敗。
V.「武力の行使」に当たり得る活動
G 邦人輸送中の米輸送艦の防衛−− 米艦は他国民を輸送しない。なぜ自衛隊が輸送しない?
H 武力攻撃を受けている米艦の防護−− 公海では参戦。領海内では個別的自衛権。
I 強制的な停戦検査−− 米国の要求での強制停船は参戦、日本による先制攻撃に。
J 米国に向け我が国上空を横切る弾道ミサイル迎撃−− コースも距離も配置も迎撃困難。
K 弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護(武力攻撃発生時)−− 米イージス艦の方が高性能。
L 米本土が武力攻撃を受け、我が国近隣で作戦を行うときの米艦防護−− 米国が先制攻撃でも?
M 国際的な機雷掃海活動への参加−− 紛争時の機雷除去は戦争行為。日本による先制攻撃に。
N 民間船舶の国際共同護衛−− どうして「何百隻もの民間船舶が被弾」? 戦争中に航行?

「武力行使との一体化」を強める“新基準”(6月3日に与党協議に提示)
@ 支援する(外国の)部隊が現に戦闘行為を行っているか
A 提供する物品・役務が他国の戦闘に直接用いられるか
B 自衛隊の活動場所が他国の戦闘行為の現場に当たるか
C 後方支援が戦闘行為と密接に関係するか
これまでは憲法違反なる「武力行使との一体化」を避けるとして、「後方地域」とか「非戦闘地域」という“造語”でごまかしてきたが、「現場ギリギリ」まで自衛隊員が行くことに。
戦闘に従事しうる部隊への後方支援は戦闘行為。戦闘行為に密接に関係しない後方支援とは? 戦闘現場になったら中断・退避はできる? 結局は“自衛”と称して参戦へ。
「集団安全保障措置への参加に制約はないというのは、従来の政府の憲法解釈と整合しない」(5.15 安倍)→「新三要件を満たせば集団的自衛権でも集団安全保障でも武力行使は許容される」(9.30)

●戦争立法/戦争関連一括法案(盛り込まれると想定される改定法案)
・自衛隊法、周辺事態法、船舶検査活動法、海上輸送規制法、特定公共施設利用法、捕虜等取扱法、武力攻撃事態法、国民保護法、米軍行動関連措置法、PKO協力法、国際人道法違反処罰法、海賊対処法、国際緊急援助隊派遣法、国際機関派遣防衛職員処遇法、防衛省設置法、海上保安庁法、防衛省職員給与法、国家安全保障会議設置法/日米物品役務相互提供協定、日豪物品役務相互提供協定など
◇一括法案=関連法改定案を個別に出すと審議時間が増え、答弁の矛盾も出やすく、成立が不揃いに。
◇「周辺事態」を廃棄?「対米支援新法」で自衛隊派兵の拡大と迅速・柔軟化へ(派兵恒久法)。
◇秘密保護法、国家安全保障会議法、武器輸出解禁、水陸機動団、強襲揚陸艦、F35、オスプレイ

●日米防衛協力の指針(ガイドライン)の再改定
◇中間報告「米軍再編と整合、積極的平和主義に対応」「閣議決定は憲法に従った自衛隊の活動拡大」指針見直しは閣議決定の内容を反映」「憲法、国内法、国家安保政策の方針に従い、日本は専守防衛、非核三原則」「日本の平和と安全、地域とグローバルな安定、同盟の対応を必要とする状況に対処する切れ目ない実効的な同盟内調整」「日本への武力攻撃を伴わない時でも、迅速で強力な対応」「見直し後の指針は、日本と密接な関係にある国への武力攻撃が発生し閣議決定の内容に従って武力行使が許容される場合の日米協力を詳述」「日米同盟のグローバルな性質を反映し協力範囲を拡大」「地域の同盟国やパートナーとの防衛協力」「サイバーセキュリティ、宇宙アセット防護」。
◇アーミテージ、キャンベル「核の傘の再確認を。グレーゾーン対処を優先すべき。TPPも重要」
◇地位協定10月中合意へ最終調整、「環境補足協定」締結/米軍基地・施設での有害物質などの管理基準強化(返還予定地の事前立入調査、自治体の事故調査早期化など?)→沖縄知事選対策

戦争関連法案で想定される改定事項

自衛隊法
3条(任務)に集団的自衛権行使の任務を追加。
20条(編成)に水陸両用団などの新部隊編成を追加。
76条以下(防衛出動)の条項に集団的自衛権行使の場合を追加。
82条の三(弾道ミサイル等の破壊)に米国・米軍向けのミサイル防衛を追加。
84条の三(邦人輸送)に米艦による邦人輸送の場合を追加。
84条の四(後方地域支援)この概念を廃止し、「後方支援」に変える。
88条(武力行使)を「わが国の防衛」だけでなく集団的自衛権行使の場合も追加。
95条(武器等の防護)、95条の二(施設防護)に米軍の武器・施設の防護のための武器使用も追加。
100条の六(米軍への物品役務の提供)、100条の八(豪軍へ)を訓練、災害など以外に、戦地での武
器・弾薬の提供や、出撃する戦闘機への給油も可能にする。

周辺事態法
「日本周辺」事態から、「わが国の平和と安全に重要な影響を与える場合」(外務省に「国際社会」の声も)に拡大。このため「集団的自衛権行使事態法」&/or「対米支援新法」制定も検討。

●周辺事態に降する船舶検査活動法−− 対象を「集団的自衛権行使事態」に拡大。
「積荷・目的地の検査」→強制停船、立入り検査も可能に?
「航路・目的港の変更要請」→変更命令、拿捕まで可能に?
「領海内、日本周辺の公海で実施」→実施海域の限定解除?
「自己防衛のための武器使用」→任務遂行のための武器使用(武力行使)に拡大?

武力攻撃事態法
「日本への武力攻撃」→集団的自衛権行使事態に拡大?
集団的自衛権行使事態にも、自治体、国民の協力を義務化?
指定公共機関(災害研究機関、公共施設管理者、医療・電気・ガス・輸送・電気通信・放送などの事業者)に、集団的自衛権行使事態での協力義務化?

武力攻撃事態に際しての海上輸送規制法
1条 目的)の「武力攻撃事態に際し領海・周辺公海で外国軍用品の海上輸送を規制」を、集団的自衛権行使事態まで拡大、海域の限定もなくす?
2条 (定義)の「日本を武力攻撃する外国軍」を日本を攻撃していない国の軍隊まで拡大?
6条 防衛省に設置される外国軍用品審判所が審理して航行停止命令→現場指揮官に権限委譲?
16条 (停船検査)、18条(積荷検査)、27条(積荷引渡)、28条(回航命令)、37条(職務執行のための警職法による武器使用)→手続きの「簡素化」「迅速化」?武器使用の要件緩和?

● 武力攻撃事態等における特定公共施設利用法
4条 (港湾・空港管理者は武力攻撃事態対処措置を踏まえて管理)→集団的自衛権事態に拡大?
12条 (道路)、13条(海域)、14条(航行制限)、15条(空域)、16条(飛行制限)、17条(電波利用)、18条(電波利用の調整)→集団的自衛権事態にも適用?

●武力攻撃事態における捕虜等取扱法
集団的自衛権行使事態では、日本領海や周辺公海での捕虜でなく、外国の領域や遠い海上での捕虜・抑留が行われる。日本の管轄権がない地域での「捕虜・抑留」の国際法上の根拠は?また、国内の刑法も変えることになるのでは? その憲法上の根拠は?

●武力攻撃事態における国民保護措置法
「指定公共機関、指定地方公共機関および国民」に協力義務。→「国民の生命、自由、幸福追求権を 守る」ため、集団的自衛権行使事態でも適用?
16条 市町村長は警報伝達・住民の避難・救援・水などの供給→集団的自衛権行使事態でも?
20条 市町村長は自衛隊の出動を要請→「敵国」の反撃でこれも含まれる?
28条 都道府県・市町村対策本部に「国の指定する者」が出席→もともと自衛隊も含まれると指摘も。
38条 都道府県協議会委員に自衛隊員も任命→集団的自衛権行使事態でも“挙国一致体制”?

●武力攻撃事態等における米軍の行動に伴う実施措置法
武力攻撃事態等において安保条約に従い武力攻撃を排除する米軍行動を円滑・効果的に実施する措置 1条(目的)、2条(定義)に集団的自衛権行使事態を追加? 以下の条項にも追加し、地域や関連措置の情報提供、地方公共団体との調整、物品役務の提供、土地・家屋の提供を行い、補給の「武器の提供を除く」という規定を削除?

●国連平和維持活動協力法(PKO協力法)
「業務」(停戦・武装解除の監視、緩衝地帯等での駐留・監視、武器の搬入・搬出の検査、捕虜交換の援助、選挙監視、警察行政への指導・監視、医療、被災民の捜索・救出、被災民への生活物資等の配布、生活インフラ・自然の復旧、これらのための輸送・保管・通信・建設)に、憲法9条に抵触する恐れがあるとして除外されてきた「武装解除」「他国部隊への武器・弾薬を含む後方支援」「駆けつけ警護」「代行治安維持」、「邦人救出」「任務遂行のための武器使用」などを“武力行使に当たらない”として追加?武器使用は現在、「自己または自己と共に現場に所在する隊員、自己の管理下に入った者の生命、身体の防衛」に限定。
 国際平和協力手当を増額?

●国際人道法違反処罰法(ジュネーヴ諸条約の追加議定書関連)
国際的武力紛争において、捕虜虐待、重要文化財の破壊、占領地への入植などの重大な人道法違反行為に国内法で懲役刑を科すもの。
 集団的自衛権行使事態などで、自衛隊員が住民や捕虜を殺傷した場合の「減免規定」を設ける?

●海賊対処法
自衛隊の制限的権限(海上保安庁法、警職法)を緩和・拡大?他国軍との共同行動を追加?


安保法制懇報告(2014年5月15日)

集団的自衛権行使容認への 庇理屈”

◆第2次安保法制憩の報告(2014年5月15日)の骨子
海外での武力行使を可能とすべき事例−−【4類型】@公海における米艦の防護、A米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃、B国際的平和活動における武器使用、C同じ国連PKO等に参加している他国の活動への後方支援、【報告】@日本近隣有事の際の船舶検査、米国等の艦船等への攻撃排除、F米国等が攻撃を受けた場合の連携・支援、B日本船舶の航行に重大な影響を及ぼす海域(海峡等)での機雷除去、Cイラクのクウェート侵攻のような国際秩序の維持に重大な影響を及ぼす武力攻撃が発生した際の国連の決定に基づく活動への参加、+D日本の領海で潜没航行する外国潜水艦が退去要求に応じない場合の対応、E海保等の速やかな対処困難な海域や離島等において、船舶や民間人に対し武装集団が不法行為を行う場合の対応【DEは「グレーゾーン」】、+F在外自国民の保護・救出、G領域国の治安回復・維持活動の補完・代替、H海賊等に対処する活動(「国際的治安協力」)、←「なお、これらの事例のみを合憲・可能とすべきとの趣旨ではない」
集団的自衛権行使の条件−− @我が国と密接な関係にある外国に対して武力攻撃が行われ、Aその事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、B我が国が直接攻撃されていない場合でも、Cその国の明示の要請または同意を得て、D必要最小限の実力を行使して攻撃排除に参加。
条件に該当の判断基準−− @我が国への直接攻撃に結びつく蓋然性が高いか、A日米同盟の信頼が著しく傷つき、抑止力が大きく損なわれるか、B国際秩序が大きく揺らぎうるか、C国民の生命や権利が著しく害されるか、Eその他、我が国への深刻な影響が及びうるか、Eこれらを政府が総合的に勘案しつつ判断、F集団的自衛権は権利であって義務ではないため、行使しないことがある⇔【「自国防衛にしろ他国防衛への協力にしろ、各国は義務を負担している」田中最高裁長官の補足意見】
行使の手続き−− @第三国の領域を(自衛隊が)通過する場合は、その国の同意を得る、A事前または事後に国会の了承を得る、B国家安全保障会議の議を経て、閣議決定で意思決定をする。
国内法制のあり方−− @集団的自衛権の行使、軍事的措置を伴う国連の集団的安全保障措置への参加、一層積極的な国連PKOへの貢献を可能とするよう整備、Aいかなる事態においても切れ目のない対応を確保、B文民統制の確保と同時に、C事態の態様に応じ手続きに軽重を設け、D行動を迅速に命令すべき事態にも十分に対応できるようにする、E自衛隊法や武力攻撃事態法、周辺事態安全確保法、PKO法等について、安全保障環境の実態、国連の標準に倣った所要に合わせ、広く検討。

◆こじつけの「理由」と憲法解釈
論証なき安倍の見直し理由−− 「北朝鮮のミサイル開発、国家間のパワーバランスの変化、中国の国防費増大、日米同盟の進化など、安全保障環境は、第1次報告以降、一層大きく変化した」
憲法解釈の変遷−− 「懇談会による憲法解釈の整理は、憲法の規定の文理解釈として導き出される」
@ 「政府の憲法解釈は、終戦直後には『自衛権の発動としての戦争も交戦権も放棄した』としていたのを、1950年代には、『自衛のための抗争は放棄していない』とした」【自衛隊創設への解釈改憲!】、
A 「最高裁が59年の砂川事件判決で、『自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然』という判断を示した」争点は“日本防衛のための在日米軍”、最高裁も“合憲”とは言えなかった】、
B 「国家の使命の最大のものは、国民の安全を守ることである。憲法論の下で安全保障政策が硬直化するようでは、憲法論のゆえに国民の安全が害されることになりかねない」【立憲主義の否定!】、
C 「個別的自衛権と集団的自衛権を明確に切り分け、前者のみが憲法上許容されるという文理解釈上の根拠は何も示されていない」、「そもそも憲法には、個別的自衛権や集団的自衛権についての明文の規定はない」【“個別的自衛権は合憲”論自体が解釈改憲で、集団的自衛権は論外だった!】、
D 「憲法前文は平和的生存権を確認し、第13条は国民の生命、自由及び幸福追求権を定めているが、これらを守るためには、我が国が侵略されず独立を維持していることが前提条件であり、外からの攻撃や脅迫を排除する適切な自衛力の保持と行使が不可欠」【憲法前文「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないように」「全世界の国民が、平和のうちに生存する権利を有する」と、9条を読め!】、
E 「国民主権原理の実現には、主権者たる国民の生存の確保が前提」【攻撃されてもいないのに!】、
F 「憲法前文と98条の国際協調主義の精神から、国際的活動への参加は最も積極的に取り組むべき分野」【非軍事の国際協力こそ!】、
G 「こうした経緯に鑑みれば、必要最小限度の自衛権の行使には集団的自衛権の行使が認められるという判断も、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要という指摘は当たらない」【自民党改憲案は不要?】、
H 「国連の集団的安全保障措置等への参加も同様に、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能」【解釈万能論!】
その他の言い訳−− @「9条1項の規定は、我が国が当事者である国際紛争の解決のために武力によ る威嚇または武力の行使を行うことを禁止したものと解すべき」【対中国軍事態勢はどうなる?】、
A 「自衛のための武力行使は、憲法の禁ずる交戦権とは『別の観念のもの』と答弁されてきた。‥ 集団的自衛権の行使や集団的安全保障措置のように国際法に合致し、憲法の許容する武力行使(!?) は、9条の禁止する交戦権の行使とは『別の観念のもの』と引き続き観念すべき」【“観念”すれば交戦権の行使ではなくなる?】、
B 「PKOの国際基準で認められた武器使用が『武力の行使』に当たると解釈している国はどこにもない」【国連PKOの「標準作戦規定」(SOP)では、「uSeOffbrce」(武力行使)と明記されている!】、
C 「『武力行使との一体化』論は、実定法上に明文の根拠を持たず、最高裁による司法判断が行われたこともなく、国会の論議に応じて範囲が拡大され、安全保障上の実務に大きな支障を来してきた。(これは)憲法上の制約を意識して自衛隊の新たな活動に慎重を期すために厳しく考えたことから出てきた議論で、今日ではその役割を終えた」【既成事実ができたから、まやかしは脱ぎ捨てる!】

◆注意すべき論点
我が国と密接な関係にある外国−− 米国に限らない。資源や市場でも「密接な関係」があれば、世界中どの国にも軍事介入できる。「地理的限定を設けることは適切でない」
我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性−− 「重大な影響」の定義や範囲はあいまい。
その国の明示の要請または同意−− 形式的な「要請、同意」ですむ(ODAでもやってきたこと)。
攻撃排除に必要最小限の実力を行使−− 攻撃の規模・強度でどこまでも拡大。
事前または事後に国会の了承−− 戦争が終わって承認!有権者の付託なき与党の承認で戦争!
集団的自衛権のジレンマ−− @紛争当事国のそれぞれに他国が集団的自衛権を行使すると、戦争は拡大し、日本の交戦相手国は複数に増えうる。A双方に安保理常任理事国が加担または利害を持つ場合、「安保理の必要な措置」(憲章51条)はとられず、停戦は困難になる。【つくし・たけひこ】

「集団的自衛権の行使」として安保理に報告された武力行使の事例
                    (*は安保理常任理事国)
1956年 ハンガリーヘの軍事介入(ソ連)*
1958年 レバノンへの軍事介入(米国)*
1958年 ヨルダンヘの軍事介入(英国)*
1964年 南アラビア連邦への軍事介入(英国)*
1965年 ベトナムへの軍事介入(米国*、豪州、ニュージーランド)
1968年 チェコスロバキアへの軍事介入(ソ連)*
1980年 アフガニスタンヘの軍事介入(ソ連)*
1983年 アンゴラへの軍事介入(キューバ)
1986年 チャドへの軍事介入(フランス)*
1988年 ホンジュラスへの軍事介入(米国)*
1990年 ペルシア湾への兵力展開(米国、英国)*→91年湾岸戦争
1997年 タジキスタンヘの軍事介入(ロシア)*
1998年 コンゴ民主共和国への軍事介入(ジンバブエ、アンゴラ、ナミビア)
2001年 アフガニスタンへの軍事介入(英国*、フランス*、豪州など/米国は“個別的自衛権の行使”)
 
自国民保護”“対テロ件戦”などの理由による軍事介入の事例
1979〜90年 ニカラグア内戦介入(米国)*−− 反政府派(コントラ)への軍事支援
1983年 グレナダ侵攻(米国)*−− “在住米学生の保護”
1989年 パナマ侵攻(米国)*−− “在住米国人の保護、パナマ運河条約の保全、ノリエガの逮捕”
1993年 ソマリア派兵(米国)*−− “アイディード将軍の副官2人の逮捕“(米兵死者18人)
1998年 スーダン空爆(米国)*−− “対テロ作戦”
1999年 ユーゴ空爆(NATO)*−− “アルバニア人保護”
2003年 リベリア派兵(米国)*−− “治安維持と国民保護”
2006年 ソマリア介入(エチオピア)*−− 暫定政府とともにイスラーム勢力と戦闘
2007年 ソマリア空爆(米国)*−− “対テロ作戦”
2011年 リビア攻撃(米国)*−− “民主化支援”
2013年 マリへの軍事介入(フランス)*−− 反政府勢力の鎮圧/安保理決議を根拠に
2014年 ウクライナのクリミア自治共和国併合(ロシア)*−− “ロシア国民への虐待”“要請された”

 ハンス・ケルゼン(カリフォルニア大教授/国際法)による
  集団的自衛権批判


「憲章51条を適用された国は、不法な攻撃だと宣言し、自衛を講じる権利があると考えるかもしれない。他の加盟国は、これを援助し、集団的自衛として合法化するかもしれない。一般国際法の下では、いずれが侵略国で、いずれが被侵略国であるかを決すべき客観的権威がない以上、双方の交戦国は正当な戦争を行うものと主張し、双方の側で、それぞれ51条の適用であるとして、自ら自衛権を行使するものであると主張するであろう。憲章によって設定された集団的安全保障を集団的自衛で置き換えることは、国連の設立にあたり意図された政治的、法的体制の破産でしかないであろう」(1948年)

憲法を生かす会 関東連絡会連絡先
:中央区日本橋3−5−12吉野ビル5階 Tel 03−5269−4847
千葉:千葉市中央区新千葉2−1−1−401 Tel 043−244−3860
茨城:水戸市桜川1−5−3岩上ビル2階   Tel 029−233−1110