市民の力で
         憲法改悪をストップさせよう!
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九条改憲にみる
   独占資本の目的とねらい!
             =改憲論の背景と日本の軍事力=


 今日の改憲議論について憲法第九条の改憲に視点を絞り、「改憲論と日本の軍事力」と題し日本の独占企業が目指す改憲の目的を、経済的・軍事的側面からわかりやすく解説した。改憲議論が広がろうとするなか、護憲の立場での論点整理の一助にするために活用ください。

【改憲の古いイメージと現在の論点】
 平和講座などの討論や発言のなかで「徴兵制の復活」がよく言われるが、自衛隊の現状を考えた時、こうした古い概念にとらわれていると今日の改憲論の本質を見間違えることになる。
 憲法九条に限って話をすれば焦点は、「自衛力保持」と「自衛隊の戦力の国際貢献」の認知・明文化にある。
【経済的背景〜構造分業・海を越えるアウトソーシング】
 経済的側面から考えた時、日本の大企業がアジアヘの進出(資本輸出)が挙げられる。80年代から日本の大企業は、安い労働力を求めてアジア各国に生産拠点を置くようになった。
 トヨタ・ホンダなどの自動車産業が東南アジアに自動車組立て工揚を建設し、現地生産の自動車が今日では100万台(ピックアップトラック)の生産規模を有するようになり、アジア諸国はもとより、ヨーロッパ・アメリカヘ輸出拠点として確立された。2002年度経済産業省調べによる在外日本企業の従業員数は全産業で314万人、アジアでは214万人など日本企業が海外で雇用している労働者数と日本国内での失業者数(政府統計)がほぼ一致する。
 しかし、経済発展に見合うだけの賃金が支払われていない状況にある。
また、日本的な労務政策の実施により、これらの工揚に勤務する労働者の中には不満もある。それが、中国の「反日デモ」の一因となり、「日貨排斥(不買運動)」や「日系企業でのストライキ」として表面化している。
 その意味で、中国・韓国での歴史認識問題は、過去の問題ではなく現代の問題として捉えるべきである。
【軍事分野での再編と経済上の結びつき】
 アジアでの現地生産体制が確立する中で、重要な意味を持つのが、海上輸送の安全確保です。
 昨今もマラッカ海峡で日本の「はしけ」か海賊に襲われたように、現実問題として「重要海峡」(マラッカ・スンダ海峡など)での安全確保が日本の命脈(生命線)を左右すると言っても過言ではない。
 日本政府も一昨年あたりから「海洋テロヘの対応」と言う言葉を多用している。既に、スマトラ地震津波災害に対しては、史上初めて「陸・海・空自衛隊を統合部隊として派遣し、海外派遣の実績を上げている。
 また、海賊対策としては、「アジア海賊対.策地域協力協定」を日本が主導する形で作り出し、既に2002年には、海上保安庁の巡視艇・航空機が、プルネイ・インド・シンガポール・フィリピン等へ派遣し、東アジア周辺の公海での哨戒を行っている。
 こうしたことの背景にあるのは、日本がアジア地域の経済・軍事の主導権の確立を目指していることにある。
 既に自衛隊内部の研究では、自衛隊の海外展開に向けた準備段階から、配備段階へと「災害派遣」を口実に進んできている。
 そのため、それに応じた自衛隊の軍事装備の近代化、部隊の機動化が行われている。(大型輸送艦・イージス艦・空中給油機の導入など)だからこそ、日本の国益を守るには、自衛隊が海外で自由に活動することを認めない現行憲法の規定は「変えなくてはならない」ということになるのです。

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憲法はどんな意味を持つかについて考えてみましょう。


 日本国憲法は、第98条1項で「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」と規定しています。日本国憲法は、法律や条例、規則などあらゆる法制の中で最上位に位置し、主権者である国民が国家権力をもつ、”為政者”(いせいしゃ)に対し、権力の行使こ対して「制限」を加えることになっています。
 例えば、第28条では「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と規定しています。これにより勤労者の団結権・スト権・団体交渉権こ対して、国は直接労働運動に介入することが出来ないばかりか、ストライキを禁止する法律を作ることも出来ないのです。
 現在、中曽根元総理や鳩山由起夫元民主党代表が、憲法改正「私案」を発表しています。
こうしたことをみるにつけ、憲法改正がすでに政治日程の中では大きな流れになっている様にも思われます。改憲を叫ぶ人たちは、「環境権や知る権利、プライバシー保護などが現行憲法にない」ことや、憲法が「時代に合わなくなった」ことなどを理由こ挙げています。
 憲法改正に向けた議論の「入口」は、誰もが「そうかな、そうだよな」と思えるような理由から始まっています。しかし、最高法規としての「憲法を変える」ことは、国家権力が自由に動けるように「歯止めを取っ払う」ことと一体のものになっています。
 憲法9条2項で禁止されている「前項の目的を達成するため、陸海軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とした不戦規定を、「自衛の為の戦闘に限って認める」と自衛権を強調しながら、「戦争のできる国」としての交戦規定に変えてしまうことにもなります。また、勤労者のストライキも「公共の福祉に反した行為」として、国が直接弾圧するという状況も生まれかねません。
 憲法を変えることは、この国のあり方を決めることになります。
 一人ひとりがもっと憲法こ関心を持つことがも求められる時代になっています。

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 自衛隊はイラクから撤退を
      何がイラクの人々のためになるのか


 2004年は、1945年以降はじめて、日本の陸上自衛隊が「イラク復興支援活動に参加」するという名目で戦闘が行われているイラクに派遣されました。自衛隊の派遣は、イラクの人々にとっては「日本がアメリカの起こした、イラクの石油利権を確保するための戦争に加担すること」に他なりません。当然、日本の自衛隊も反撃の対象とならざるを得ない状況があり、すでに自衛隊の宿営地に迫撃砲やミサイルによる攻撃が行われ、死傷者こそ出さないものの宿営地の施設に大きな被害がでています。
 そもそも、このイラクでの戦争は、「フセイン政権が大量破壊兵器や核兵器を保有している」という情報のなかで始められました。しかし、戦闘が始まって2年近くが経過するのに現在もそうした武器は見つかっていません。そればかりか、戦争を始めたアメリカやイギリスでは、「戦争の口実になった大量破壊兵器や核兵器に関する情報がねつ造されていた」という疑惑も浮かび上がってきています。
 誤った情報により始まった戦争により、数万人に及ぶイラクの人々が犠牲になって来ました。また、戦争に参加したアメリカ軍にも1000名を超える死者がでています。日本人も外務省職員 やジャーナリストなど5名の方が命を落としています。
 理由のないイラクでの戦争は、国際法や国連憲章に違反しています。当然、「・・・武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する(9条1項)」とした日本国憲法にも違反しています。国内でも、イラクへの自衛隊派遣の差し止めを求める市民が、札幌・仙台・東京・甲府・静岡・名古屋・大阪そして宇都宮の各裁判所に訴えを起こしています。
 今、声を挙げなければ、戦争を放棄した日本が「戦争が出来る国」になってしまいます。そうならない為にも、唯一の歯止めである平和憲法を変えてはいけないのです。
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 際限なき防衛費=私たちの税金です

 05年度の防衛関係費の総額は、次期中期防衛力整備計画(05〜09年度)で、5年間の防衛費の総額を現行計画より約9200億円少ない24兆2400億円とすることとなったことを受け、前年比1%減(490億円)減の4兆8563億円となりました。防衛予算が前年度比マイナスになるのは3年連続だが、その内容は質の面で非常に多くの問題を抱えています。冷戦型装備とされた戦車・火砲を大幅に縮減する一方で、弾道ミサイル防衛(BMD)の配備に1198億円という巨費を投じ、日米一体のミサイル防衛構想の既成事実がさらにすすむ。専守防衛、集団的自衛権の不行使、武器輸出三原則などが、何の議論もなしに、軽々と踏み越えられていくことを批判しなければなりません。
 まさに同時期に策定作業がすすめられた「防衛計画の大綱」(12月9日閣議決定)、「中期防衛力整備計画」(同)の内容を先取りし、新大綱がいう「新しい安全保障環境」に適合した自衛隊に向けて大きくカジを切ろうとするものです。95年につくられた現「大綱」から9年ぶり3度目の新大綱は、外国の武力侵略から国土を守ることを主眼とした最初の「大綱」(76年)、冷戦後の状況を受け日米の防衛協力を日本の「周辺」にまで広げた現「大綱」からさらに大きく転換し、日本の防衛政策を「世界の中の日米同盟」に積極的に組み込み、米軍との一体化をいっそう推し進めるものです。日本の国土防衛を主眼にしてきた自衛隊は、米軍とともに大量破壊兵器の拡散や国際テロなどの新たな脅威に地球規模で対処するための海外任務を本務化し、組織や装備のあり方を大きく転換しようとしているのです。
 必要最小限の「基盤的防衛力」構想を見直し従来型装備を大幅縮減、北朝鮮の脅威に備えたミサイル防衛の配備、テロなどの緊急事態に常時備える防衛庁長官直轄の即応集団の設置、海外任務のための教育訓練態勢の整備、輸送能力の整備、といった大綱の目指す方向を先取りし、具体化に向けて着実に歩みを進めるのが05年度防衛関係費の内容にほかなりません。これまで政府自らが主張してきたはずの専守防衛の原則すらないがしろにし、戦う自衛隊へカーブを切るための予算案を許してはなりません。
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「軍都復活」を許さない

 
緊急即応連隊(テロ対応部隊)の宇都宮市への配備に反対

 
かつて宇都宮市には陸軍第14師団本部が置かれ、「軍都宇都宮」と呼ばれており、先の戦争では多くの前途ある若者を戦地に送り出しました。
 1943年3月のニューギニア方面への第51師団の派遣では、宇都宮から出征した兵士を乗せた輸送船団が攻撃を受け、一瞬のうちに3000名を超える犠牲を出したことが記録されています。
 今回の防衛大綱の見直しで防衛庁は、宇都宮市に「緊急即応連隊」の新設を検討しております。この「緊急即応連隊」は、テロ対策や海外派遣の常設実働部隊となり、宇都宮市民である自衛隊員から戦闘による犠牲者が出ることも考えられます。また、これらの基地に対する攻撃に巻き込まれ市民が犠牲者となりかねません。
 市民に危険を及ぼしかねない「緊急即応連隊」の宇都宮市への配備には反対です。

   司令部  (朝霞駐屯地)     緊急即応連隊    (宇都宮駐屯地)     1100人
        200人           第1空挺団     (習志野駐屯地)     2000人
                       特殊作戦群     (同      上)        300人
                       第1ヘリコプター群 (木更津駐屯地)      900人
                       第101化学防護隊 (大宮駐屯地)       200人
                       国際活動教育隊   (御殿場 駒門)      100人
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 戦後60年の節目
    
だから、今こそ平和憲法を世界に発信しょう

 戦後60年目の節目となる2005年は、日本が世界の中でどう生きるか問われる年になります。
 現行憲法が、「現状に合わないから変えてしまえ」という声が大きくなりはじめていますが、皆さんはどう思いますか。
 2004年には、自民党の憲法調査プロジェクトが憲法改正に向けた議論を始め、2005年の結党50周年にあわせ、より具体的な内容の改正案を準備しています。森前総理を筆頭に総理経験者や財界人・学者を総動員し、現行憲法が「押し付け憲法だ」として、「自主憲法」制定の国民運動を作ろうとしています。そのさきがけとして、憲法の改正の手続きを定めた「国民投票法案」も自民・公明両党で合意に達し、2005年の通常国会に提出される方向で進んでいます。
 憲法規定では「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案しその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際に行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする」(96条1項)と定められています。残念ながら、2004年8月に行われまた衆参両院の国会議員に対するアンケートでは、「憲法改正の必要がある」と回答した議員は、86%にも及んでいます。
 平和憲法を守ることが、私たちの今すべきことではないでしょうか。

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もう1つの憲法といわれている

   
教育基本法もつくりかえようとしていることを
                
ご存じですか


 将来、この国を担う若い世代については、教育のなかで「愛国心」「ボランティア精神」などを強要するような学習指導綱領が作られており、この方針に従わないような公立学校の先生には、教育委員会からの「処分」や「指導力不足教員」として個人攻撃が行われています。憲法では「思想および良心の自由は、これを侵してはならない(19条)」としていますが、「君が代」斉唱や「日の丸」掲揚に異議を唱える東京都の教師には、「職務命令違反」で処分発令が行われています。
 また、中学校の社会の教科書では「これまで教えてきた歴史観が自虐的」だとして、近代史を無理矢理ねじ曲げた内容となっているものも出版され、その採用を目指し教科書の採用権をもつ教育委員会の委員に対し採択を働きかける動きも現れています。
 愛国心や奉仕精神を教育現場で子ども達に強要することが、豊かな心を育むのでしょうか。中央教育審議会の答申に基づく「改正」は、教育をめぐる根本的な問題解決につながらないばかりか、憲法に定められた思想・良心の自由などにふみこむおそれがあります。
 現行の教育基本法や子どもの権利条約を生かした教育を実現することこそ、いま求められている教育改革です。
父として・母として子どもたちに残せる
遺産は「平和憲法」と「教育基本法」だけです。 
 アジア諸国で、3000万人とも言われる犠牲者を出した先の戦争の反省の上に立って、私たちの日本国憲法は制定されました。「二度と戦争を起こさない」とする第9条を持つこの憲法は、世界の多くの人々に支持されています。
 私たちが子どもたちに残せるものは、「平和憲法」と「教育基本」です。21世紀を平和と希望に満ちた時代としていくためにも、今の憲法を変える必要はありません。一部の政治家や財界の利益のためにあなたは「この国の良心(平和憲法)」を捨てることができますか?。

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憲法制定の経過


 
長く苦しい戦争が終結した1945年、マッカーサーから示唆を受け、明治憲法を変更し、新しい憲法をつくるため、時の幣原首相は憲法問題調査委員会(松本委員会)を設立。
 翌年提出された松本草案は、改革とはほど遠いものであり、松本委員会には期待できないものとし、総司令部自ら憲法草案を作成することを命じました。
 憲法は、米国に押し付けられたものであるということがよくいわれるが、その経過、あるいは時の内閣にとっては、そうであっても、国民にとっては一概にそうであるとはいえないともいわれています。
 1945年12月以降、日本人の民間グループによるいくつかの憲法草案が公表されていて、総司令部は日本国民の手で作成されたこれらの憲法草案にも強い関心を示しました。特に憲法研究会(日本人の学者や評論家らによって構成)が1945年12月27日に公表した憲法草案に着目し、念入りに検討されました。
 国民の手によってつくられた憲法草案が、日本政府には注目されなかったが、総司令部によって大きく評価され、その大部分が総司令部の憲法草案をとおして新憲法の中に取り入れられ、総司令部の憲法草案に大きく影響を与えたといわれています。国民の意思が大きく反映されたといえます。
 また、戦争放棄の理念は幣原首相とマッカーサーとの会談で、幣原の方から軍国主義の根絶につき、新憲法草案に戦争放棄・軍備全廃の条項を入れたい、それは日本が世界の中で生き残るためにはこれしかない唯一の方法であると提案(現在も同じであり、否現在こそこの理念が必要な時です)し、マッカーサーが驚きつつも全面的に賛意を表し、憲法の条文として取り入れられました。とにもかくにも敗戦後の混乱期の中、平和を願い、二度と戦争はいやだと現憲法を支持した私たちの祖父母や父母たちがいた。以降、平和の中で暮らしてきた私たちがいます。

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