声明・論評
   
 ホーム
 声明・論評
 集会と 行動の案内
 ミャンマー連帯
憲法集会 
総がかり・市民 アクション行動
  YABUKI写真館
沖縄と連帯
   オスプレイ 来るな!飛ばすな!  
 アーカイブ (記録)
  
 
 
 
 
 

  【声明】憲法の平和原則と「専守防衛」原則を投げ捨て、
 「戦争する国」への道をひた走る自民党の「安保提言」に反対する 
 

1976年に三木武夫内閣が防衛費(軍事費)は「国民総生産(GNP)比1%を超えない」ことを閣議決定した。以来、いくつかの波はあったが、ともかくも日本の防衛費は事実上「1%未満」で推移してきた。

「専守防衛」は日本国憲法第9条との関連で解釈され、防衛戦略の基本的姿勢とされてきた。専守防衛は「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し,行使は自衛のための必要最低限度であり、保持する防衛力(軍事力)も自衛のための必要最低限度のものに限られる」とされてきた。

いま、岸田文雄内閣の下で、この「国是」ともいうべき「専守防衛」と防衛費の「GNP比1%」以内という方針が、自民党が提出する「提言」によって大きく転換されようとしている。

岸田内閣は従来の政府の路線を大きく転換するために、年内に防衛3文書、「国家安全保障戦略」「防衛大綱」「中期防衛力整備計画」の改訂を企てている。自民党の「提言」はその転換を主導する狙いがある。
 岸田首相は年頭の施政方針演説で、「いわゆる『敵基地攻撃能力』をふくめ、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」とのべた。

自民党安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)は昨年末から20回近くの会合を重ね、このほど党の防衛関係の幹部も参加して異例の3日連続の会議を経て、4月21日の会合で、国家安全保障戦略の改定に向けた「提言案」をとりまとめた。きたる参院選挙を経て、この「提言」が反映された防衛3文書がつくられていく。

提言案は従来使用してきた「敵基地攻撃能力」の呼称を「反撃能力」に改め、その能力を保有することを政府に求める内容だ。攻撃対象には相手国のミサイル基地だけでなく、指揮統制に関連する機能も含める。

防衛費については従来の額の倍増になる「国内総生産(GDP)比2%以上」への増額を念頭に「5年以内」に達成することを盛り込んだ。

そして軍事技術力を向上させつつある中国や朝鮮の軍事動向を踏まえ、「迎撃のみではわが国を防衛しきれない恐れがある」と強調する。相手国のミサイル発射方式の多様化も見据えて、「(対象を)基地に限定する必要はない。向こうの中枢を攻撃することも含めるべきだ」「相手国の指揮統制機能等も含む」ものとした。

従来日本政府がとってきた「専守防衛」では、相手から武力攻撃を受けた場合、初めて防衛力を行使するものであり、それは「必要最小限の行使」であり、装備も必要最小限のものに限っていた。

これに対して今回の提言の「反撃能力」はそうではなく、従来の専守防衛とは異なり、「敵の第一撃」を甘受することは想定していない。「相手側の攻撃が、明確に意図があって、すでに着手している状況であれば、(敵基地攻撃の)判断を政府が行う」として、先制攻撃を容認している。

これは防衛政策の一大転換であり、「専守防衛」の底が抜けたような大転換だ。

安倍晋三元首相などは「敵基地攻撃能力の保有」とともに、「核の共有」なども叫び始めた。2020年9月の安倍辞任「談話」などによって議論を先導してきた「敵基地攻撃能力の保有」論は、相手国の弾道ミサイルの発射拠点を直接攻撃する能力のことで、従来はミサイルの早期迎撃に主眼を置いた議論だった。しかし、安倍元首相は最近「私は打撃力といってきたが、(目標を)基地に限定する必要はない。向こう(相手国)の中枢を攻撃することも含むべきだ」「(攻撃を)基地に限定する必要はないわけでありまして、向こうの中枢を攻撃するということも含むべきだ」(4月3日、山口市)などと発言し、政府機関やインフラまで攻撃対象にするところまで議論をいっそうエスカレートさせている。これは「防衛」の名のもとにウクライナの首都キーウまで攻撃したロシアのウクライナ侵攻と同じで、世界を揺るがせているロシアのウクライナ侵略という惨事に便乗したショックドクトリンだ。

安保調査会で飛び交った「従来の必要最小限では抑止力にならず、国民を守れない」とする意見や「攻撃範囲を相手国のミサイル基地に限定せず、指揮統制機能まで攻撃する能力を持つ必要」などの意見は、専守防衛どころか、国際法違反の「先制攻撃能力保有」にまでつながるものだ。

「敵基地攻撃能力」では聞こえが悪いので、「反撃能力」と呼ぶなどということは、人々を愚弄するものだ。なんと呼称しようと、これは「戦争」そのものだ。

憲法第九条はその第1項で「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明確に書いており、「敵基地攻撃能力の行使」はまさにこの第9条が禁止する「戦力」であり、その保有は憲法違反に他ならない。

自民党は昨年の総選挙の公約でNATO諸国(北大西洋条約機構)が米国の要求する国防予算の目標を2%以上としていることに倣って、日本の防衛費もGDP比2%以上にすることを主張した。ちなみに、NATOは防衛費の計算に恩給費やPKO関連費なども含めているので、21年度の日本の防衛予算は1.24%になると岸防衛相の答弁がある。提言は軍事費についてNATOが目標としているGDP比2%以上に足並みをそろえようとしているが、今年度の当初予算は5・4兆円であり、5年以内に11兆円以上の規模とする大軍拡を企図していることになる。これは2021年度の世界の軍事費で換算(ストックホルム国際平和研)すれば、米中に次いで世界第3位になる。この巨額の軍事費が米国の軍産複合体と日本の軍需産業の手に入るのだ。憲法9条がある国で、このようなことが許されていいはずはない。

いったい、この財源はどこにあるのか。NATO諸国は増税と一体で議論している。安倍元首相などは「国債で賄う」などと暴論を述べているが、硬直した日本の財政では社会保障費など、民衆にしわ寄せされるのは不可避であり、暮らしを壊す軍拡予算だ。

この巨大な軍拡が2015年の安保法制の下で進められていることは見逃せない。従来は相手国を攻撃する「矛」の役目は米軍がにない、防衛の「盾」の役目は自衛隊が担うという役割分担をしてきた。安保法制は従来の集団的自衛権行使に関する憲法解釈を変えて、集団的自衛権の行使を拡大し、武力攻撃事態、存立危機委事態などという名目で、日本への武力攻撃がなくても、米国が他国と戦争を開始した場合、日本が攻撃されていなくても自衛隊が米軍とともに相手国のミサイル基地などと合わせて、「指揮系統機能」=司令部を攻撃することになり、全面戦争にはいることになる。

こうして岸田内閣の下で、日本は急速に軍事力を強め、日米同盟を中心に欧米諸国やインド、豪州、ニュージーランドなどとの軍事協力を推進し、中国、朝鮮包囲網の形成にまい進している。このことがアジア・太平洋の軍事的緊張をいたずらに増大させ、不安定化することは間違いない。戦争の準備をすれば戦争がやってくる。

このたびのロシアによるウクライナ侵略から学ぶべきことは、戦争につながる軍事力の強化で国の安全を保障しようとするのではなく、平時から友好と協力、共存の国際関係を形成し、「非核兵器地帯条約」締結など、全域の共同の安全保障体制を作り上げることの大切さだ。岸田政権はこの道を逆走している。日本と東アジアの平和を願う市民は、力を合わせて岸田政権による軍事力の暴走を止めなくてはならない。ともに行動に立ち上がろう。

  2022年4月26日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
 
   「改憲ありき」の拙速な憲法論議に異議あり
(いま、
憲法審査会は?4・7院内集会)
 
  開会中の通常国会では、2月10日から衆議院の憲法審査会が毎週開催され、参議院の憲法審査会も3月25日から開催されはじめた。国会での改憲論議が、一気に加速している。
 しかし、改憲を求める市民の声は決して高くない。先の総選挙でも「重視した政策」として「憲法改正」と回答した有権者はわずか3%でしかない(日本テレビ出口調査)。総選挙中の各党党首の街頭演説でも、ほとんどが改憲問題には全く触れられていない(NHK調査)。
 にもかかわらず、総選挙で改憲を主張する勢力が議席の多数を占めたことを嚆矢に、「改憲ありき」、「スケジュールありき」の改憲論議となっていることに強く抗議する。主権者の負託をふまえない立法府の暴走はやめるべきである。
 
 とりわけ衆議院の憲法審査会では、自然災害や感染症の拡大、戦争など際に、国会機能維持や、国会の機能喪失の場合に法律と同じ効力をもつ「緊急政令」制定権限、緊急事態での人権制限などを可能にする緊急事態条項の創設が、改憲事項として論議されている。
 見過ごせないのは、その緊急事態条項創設論議ともかかわって先行して論議された「オンライン審議」について、憲法56条の「出席」に「オンライン出席」を含むとの解釈とりまとめを多数決で行ったことである。「憲法改正原案などを審査する機関」とされる憲法審査会に、憲法解釈の権限は付与されていない。権限逸脱であるとともに、改憲につながる論議を多数で強行したことも暴挙であり、強く抗議する。

 自然災害や感染症の拡大によって国会機能の喪失がありうるのか、選挙時の災害などに対応できる参議院緊急集会でなぜ不十分なのか、戦争有事の時にこそ政府の暴走にブレーキをかけるのが国会の役割ではないのか、など緊急事態条項の必要性についての国民への説明も論議もないままの衆議院憲法審査会の論議は、「改憲ありき」、「スケジュールありき」の証左である。審議の進め方、あり方を改めるべきである。
 
 憲法制定時の国会審議で、緊急事態条項を規定しない理由として「政府の自由判断を大幅に残しておくとどの様な精緻な憲法でも破壊される可能性」や「濫用危険性」を担当大臣が述べている。その懸念が払しょくできるほどに立憲主義が浸透し、権力分立が成熟したとは到底思えないのが今の政治の状況である。
 国会審議で118回も首相が虚偽答弁を繰り返し、野党の臨時国会開催要求が再三再四拒否される状況は、逆に権力の暴走、権力の乱用への懸念を抱かせるものである。
 通常国会冒頭の姿勢法人演説で岸田首相は「憲法改正に関する国民的議論を喚起していくには、我々国会議員が、国会の内外で、議論を積み重ね、発信していくことが必要」と述べている。このような上からの改憲論議の姿勢こそ、憲法の理念、立憲主義をふまえない権力の暴走の表れである。その暴走に歯止めをかけるのではなく、さらに加速させる状況を作り出している衆議院憲法審査会の審議状況に、抗議の意思を表明し、拙速な論議を改めるよう重ねて求める。
 
 2022年4月7日 
  いま、憲法審査会は? 4・7院内集会 
 
 
     
あらためて緊急事態条項創設改憲案に反対する法律家団体の緊急声明
 2022年4月6日
改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター   共同代表理事 海渡 雄一
自由法曹団            団長 吉田 健一
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 上野  格
日本国際法律家協会        会長 大熊 政一
日本反核法律家協会        会長 大久保賢一
日本民主法律家協会       理事長 新倉  修 
 はじめに
今通常国会における衆議院憲法審査会は、予算審議中の2月10日に始まり、これまでほぼ毎週開催という異例ずくめの展開となっている。新型コロナ感染拡大を受けて、早急にオンラインによる国会審議について議論等が必要として始まった衆議院憲法審査会は、現在、自民、公明、維新の会、国民民主などの改憲推進派委員が一体となって、感染症や大災害、ロシアのウクライナ侵攻のような国家有事に備えて憲法に緊急事態条項を創設すべきとする議論を口々に語り、まずは緊急事態下における国会議員の任期延長についての意見のとりまとめを行うべきなどとの発言も出ている。
 改憲問題対策法律家6団体連絡会は、安倍首相当時にとりまとめられた自民党改憲4項目案(①憲法9条に自衛隊明記②緊急事態条項の新設③合区解消④教育充実)に一貫して反対してきたが、今般、あらためて緊急事態条項の創設をはじめとする改憲案に強く反対するとともに、主権者を蔑ろにして衆議院憲法審査会で進められている改憲論議に抗議をするものである。 
 
1 緊急事態条項の危険性
 自民党らの狙う緊急事態条項は、9条改憲とあいまって戦争などの緊急事態において、国権の最高機関である国会の立法権を奪い、内閣や首相が独裁的に国民の人権制限を行うことを可能にするものである。緊急事態条項は、立憲的な憲法秩序を一時的にせよ停止し、行政府への権力の集中と強化を図って国家・政権の危機を乗り切ろうとするもので、立憲主義と民主主義を破壊する大きな危険性を持つ。
 「民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護致します為には、左様な場合の政府一存に於いて行いまする処置は、極力之を防止しなければならぬのであります。言葉を非常と云ふことに藉りて、その大いなる途を残して置きますなら、どんなに精緻なる憲法を定めましても、口実を其処に入れて又破壊せられる虞れ絶無とは断言し難い」(第90回帝国議会:金森徳次郎国務大臣答弁)として、憲法はあえて緊急事態条項を設けていないのであって、その意味を重んじるべきである。

2 緊急事態を理由とする改憲は不要 国会議員は自らの責務を尽くせ 
 戦争・内乱・大規模自然災害・パンデミックなどの対応については、すでに充分な法律が整備されており、憲法に緊急事態条項を置く必要性はない。すでにある法律でもし足りないところがあれば、それを議論して法改正を行うことこそが国会議員の責務である。金森国務大臣も答弁している通り、何より重要なことは実際に予想できる特殊な緊急事態に備えて、平素から対応を考えて準備をしておくということである。そのために、立法及び法律改正が必要であれば、濫用の虞れがないよう十分に国会で審議を尽くして、法令を完備しておくことこそが重要である。国会議員のこれらの責務を放棄し、あるいは国会議員にはその能力がないと認めて、内閣に白紙委任するような改憲を口にすること自体、国会議員として許されない行為である。
 また、神戸や東日本大震災並びに新型コロナ感染拡大などの経験から言われていることは、せっかく高度に整備された法制度があるにもかかわらず、平時から災害やパンデミックに備えた事前の準備がほとんどなされていないためにそれをうまく運用できなかったという点である。その点の検証と改善こそが緊急に必要なのであり、改憲議論は不要であるばかりか、災害やパンデミックから国民の命を守るために真に必要な国会での議論を阻害しかねないのであって有害である。

3 緊急事態での国会議員の任期延長改憲は不要である
 大規模災害等で選挙ができないと国会議員が不在となって国会の機能が維持できないから、国会議員の任期延長を認める改憲が必要であるなどの議論がなされている。
 憲法は「参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。」(憲法46条)。したがって、参議院議員が同院の定足数(総議員の3分の1;憲法56条1項)を欠くことはない。衆議院の解散後に緊急事態が発生した場合には、参議院の緊急集会(憲法54条2項但書)を開催し緊急事態に対応することは可能である。憲法はそのような事態をも想定して参議院の緊急集会を規定している。
 衆議院議員の任期満了の場合について憲法54条2項但書の類推適用が認められるかについては、学説上は肯定説が有力である。もっとも、この点については、任期満了により選挙ができないような状況が生じないよう、任期満了までに必ず衆議院選挙を行うような公職選挙法31条等の改正で解決できるのであって、そもそも改憲は不要である。必要な法改正をすぐに行えば済むことである。
 以上のとおり、憲法は国会の機能が常に維持できる体系を用意しているのである。改憲推進派は、日本全土が沈没して選挙が実施できないような極端な事態を想定して任期延長改憲が必要と主張するが、そのような極端な事例を出して議論すると「間違う危険性が強い」(本年2月24日高橋和之東大名誉教授)。「何よりも重要なのは、憲法に手を付ける前に、まず、緊急時における対応についての法制を準備しておくということではないか」(同日只野雅人一橋大学大学院教授)。こうした憲法研究者の意見は重要であり、その意味を理解しないで軽々に扱うことは許されない。
 選挙が実施できない地域では繰延投票制度(公職選挙法57条)を利用すれば済む。また、日本弁護士連合会が、2017年12月22日付「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」で提言するように、①平時から選挙人名簿のバックアップを取ることを法的に義務付けること、②避難所又は避難先で被災者が元の住所を入力することで、被災者の所在地を把握できる仕組みを構築すること、③大規模災害が発生した場合でも実施できる選挙制度の創設として、ア指定港における船員の不在者投票類似の制度の創設、イ郵便投票制度の要件緩和など、先ずは公選法改正で対応できることをやるべきである。

4 国会議員の任期延長改憲は、国民の参政権を侵害し権力による濫用の危険が大きい
 国会議員の任期延長は、国民固有の権利(憲法15条1項)である選挙の機会を奪うということであり、民主政治の根幹を揺るがしかねない。
 任期延長とその期間を決めるのが国会議員自身または内閣であるとすれば、自らの地位延命のために、あるいは、政権や国会多数派にとって不利な時期の選挙を避けるために任期延長をはかるといったご都合主義、お手盛りの危険が常につきまとうのであり、国会議員自らが軽々に任期延長の議論をすること自体、厳に慎むべきものである。わが国では1941年に衆議院議員の任期が任期満了前に立法措置により1年間延期されたことがある。選挙を行うと「挙国一致防衛国家体制の整備を邁進しようとする決意について、疑いを起こさしめぬとも限らぬ」からという理由で選挙が延期され、その間に真珠湾攻撃を行い非戦論を封じてアメリカ・連合軍との無謀な戦争に突入したのである。この教訓が端的に示すとおり、緊急の事態にあっては、むしろ民主政治を徹底し国民の審判の機会を保障することこそが必要である。
 しかも、国会議員の任期を延長したからといって国会が開かれる保証はない。改憲派の狙いは選挙を避けて権力を温存したうえで緊急政令等の内閣・首相の独裁で政治を行うことにあるとみるのが正確であろう。憲法53条の国会召集要求をコロナ禍でさえも2回にわたって無視するような自公政権を見ればこの危険は一層の現実味を持つと言えよう。
 緊急事態における国会議員の任期延長は、以上のとおり、国民主権・民主主義の根幹にかかわる議論であり、権力による濫用の危険が極めて高く、立憲主義を破壊する危険がある。憲法審査会で軽々に議論をして、しかも多数決で「とりまとめ」るなどといった暴挙は、絶対に許されない。

5 まとめ
 任期延長の議論のとりまとめが済めば、次は、緊急政令と人権制限、憲法9条の改憲議論に突き進むことは、現状の改憲派の動静から見て明らかである。
 わたしたち改憲問題対策法律家6団体連絡会は、コロナ禍で多くの市民が苦しむ中、民主主義と立憲主義を葬りかねないような議論が衆議院憲法審査会で行われていることに強く抗議するとともに、緊急事態下における国会議員の任期延長についての意見のとりまとめを行うことに対しては断固反対するものである。
 以上 
 
 
 改憲策動を市民の運動で押し返そう(アピール)

― 「憲法改悪を許さない全国署名」を一気に広げましょう - 
   
 市民が望まない改憲論議よりコロナ対策を、憲法をまもらない勢力に憲法を語る資格はない、「壊憲」政治から憲法まもる政治に、と奮闘いただく全国の市民の皆さん。

 憲法は今、戦後最大の危機です。たたかいは正念場です。いのち、くらし、平和を守り、前進させる社会を次の世代に引き継ぐために、力を合わせて改憲策動を押し返しましょう。「憲法改悪を許さない全国署名」運動を全国各地で広げ、たたかいのうねりを大きくしましょう。

市民の皆さん。先の総選挙の結果、改憲を主張する勢力の議席数が3分の2を超える大変残念な結果となり、改憲の動きが一気に強まりました。
 岸田首相は年頭所感で「(改憲は)本年の大きなテーマ」と前のめりの姿勢を露骨に示し、自民党には「憲法改正実現本部」を改組・設置しました。安倍・菅政権以上の改憲暴走の姿勢です。その暴走を、「来夏の参議院選挙と同時の改憲国民投票実施」を主張する日本維新の会などが加速させています。
 年末の臨時国会では、予算委員会審議中に衆議院・憲法審査会を開催するというこれまでにない動きとなりました。改憲勢力は、毎週の憲法審査会開催や、スケジュール、課題を決めた審議なども求めており、通常国会中に改憲論議が一気に進みかねません。

 1216日に開催された衆議院憲法審査会では、自民党が「改憲4項目」をベースにした審議をもとめ、コロナ対策を口実にした緊急事態条項創設を求める意見もだされました。しかし、改憲の真の狙いが憲法への自衛隊を明記にあることは明らかです。
 岸田政権は、敵基地攻撃能力保有を明記する防衛計画大綱などの見直しや軍事費をGDP2%への大軍拡を進めようとしています。他国攻撃可能な武器の保有は違憲としてきた従来の政府答弁を見直すこととあわせて、「9条改憲」もと狙っているのです。
 中国が覇権主義を強め、アメリカとその同盟国が中国包囲を強固にするもとで、日本も軍事対軍事、武力には武力の道に進むのか、憲法9条をいかした平和外交に立ち戻るのか、今、その岐路に立っています。果てしない軍拡競争のために、市民のいのち、くらし、人権を二の次にする政治を認めるのか、それを拒否するのかの岐路でもあります。

 この夏に予定される参議院選挙で、立憲野党の共闘を前進させて改憲勢力を少数に追いやり、政治転換への市民の信頼を広げるためにも「憲法改悪を許さない全国署名」を大きく広げましょう。改憲NOの市民の意思を形にして、国会内での立憲野党の奮闘を後押ししましょう。
 可能な形態での宣伝・署名行動、学習・講演会活動などを全国で一気に強めましょう。
 憲法施行から75年目となる53日を第一の節目に、夏の参議院選挙を第二の節目に、年明けから取り組みを飛躍させましょう。
 市民の皆さんの総決起を心から訴えます。

     202215

9条改憲NO!全国市民アクション

戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会

 
【声明】
安倍首相らの改憲の動きに反対し、
憲法審査会の再始動強行に反対します

 今夏の参議院選挙は自民党が改憲を公約の重点項目に挙げ、安倍首相は「(憲法を)議論をする政党を選ぶのか、審議を全くしない候補者を選ぶのかそれを決めて頂く選挙だ」と改憲問題を争点化しましたが、改憲派は3分の2の議席を維持できず、自民党は単独過半数を手放すという結果に終わりました。これは「安倍9条改憲NO!」の署名運動や各地の市民連合など、全国の市民運動と野党の共同の成果です。

 しかし、安倍首相は「必ずや憲法改正を成し遂げる」「新しい時代にふさわしい憲法改正原案の策定に向け、衆参両院で第一党の自民党が憲法審査会で強いリーダーシップを発揮すべきだ」と述べ、臨時国会の所信表明演説では、「令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないでしょうか」と訴えて、自らの任期中に改憲を成し遂げることに強い執念を燃やしています。

 私たちは、自衛隊明記の9条改憲をはじめとする自民党の4項目の改憲案の発議と、そのための衆参両院の憲法審査会の始動に断固として反対するものです。

1 自民党9条改憲案は9条2項を空文化して海外での戦争を可能にするものです。安倍自民党による改憲発議を許してはなりません。

 自民党9条改憲案は、「必要な自衛の措置」として集団的自衛権の全面行使をも可能とするものです。緊急事態条項に関する改憲案は、軍事的な緊急事態に内閣の権限を拡大し、人権の大幅な制約を可能にする危険性があります。大地震などの自然災害の対応についてはすでに充分な法律が整備されており、憲法に緊急事態条項を置く必要性はありません。さらに、合区に関する問題の解決は公職選挙法等の改正で可能であり、自民党の合区改憲案は投票価値の平等を侵害するなどの危険性があります。教育の充実に関する改憲案は、教育が「国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担う」として教育への国家介入を正当化する危険があります。教育の充実は国会と内閣がその気になれば、法律や予算措置で可能であり、改憲は必要ありません。

 自民党の4項目改憲案は、いずれも改憲の必要性・合理性を欠くうえに、日本国憲法の基本原理である平和主義、主権在民、基本的人権の尊重を破壊するものです。

2 世論は、今、改憲を望んではいません。安倍改憲のための憲法審査会の始動を許してはなりません

 憲法改正の議論は世論の中から改正を求める意見が大きく発せられ、世論が成熟した場合に初めて国会で議論されるべき問題です。1980年11月17日の政府統一見解も、「憲法の改正については、慎重のうえにも慎重な配慮を要するものであり、国民のなかから憲法を改正すべしという世論が大きく高まってきて、国民的なコンセンサスがそういう方向で形成されることが必要である」としています。世論の支持がないままに「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)を負う首相や国会議員が改憲議論を主導することは明らかな憲法違反です。

 世論が憲法改正を必要な政策と考えていないことは、この間の各種の世論調査の結果を見れば明らかです。人びとが望むのは、台風被害対応をはじめ山積する諸課題についての予算委員会など国会の各委員会での真剣な議論です。それは先の参院選で立憲野党と市民連合が合意した13項目の政策の実現のための議論であり、改憲のための憲法審査会の議論ではありません。憲法の議論を逃げているのは安倍首相の方です。

3 与党提出「公選法並び」の改憲手続法改正案は、重大な欠陥法案であり、これを成立させてはなりません

 継続審議となっている与党提出の改憲手続法改正案は、2016年に成立した公職選挙法改正の内容にそろえて国民「投票環境を向上させる」ためなどと与党は説明しています。

 しかし、与党提出の改正案は、テレビ・ラジオの有料広告規制が、投票前2週間の投票運動に限定されていて「国民投票を金で買う」危険性がある問題、公務員・教育者に対する不当な規制の問題、大企業や外国企業、外国政府なども運動費用の制限なく国民投票運動ができる問題、最低投票率の定めがない問題等々、現行手続法が持つ数多くの本質的な問題点について、全く検討していない欠陥改正法案です。

 このように重大な欠陥のある法案を急ぎ成立させる必要性はありません。それは、安倍首相が目指す改憲4項目発議の環境を整えるものです。

 また、憲法審査会を開催して与党提出の改正案の議論に応じても、自民党が抜本的な手続法改正の議論に真摯に応じる保障はなく、任期中の改憲を目指す安倍自民党は欠陥改正法案を多少の手直しで強行採決し、次は具体的な自民党改憲案の議論に突き進もうとすることは明らかです。与党提出の「公選法並び」の改正案の議論は、自民党改憲4項目提示の「呼び水」でしかありません。

4 国会内外呼応して、安倍改憲に反対しよう

 私たち総がかり行動実行委員会は、安倍首相らがめざす4項目の改憲案に反対し、自民党改憲案の「提示」や「審議強行」「発議」への道を掃き清めるための憲法審査会の再始動の強行に反対します。

 事態は急を要しています。

 いまこそ、憲法改悪に反対する市民と立憲主義の立場に立つ野党は結束して、「戦争する国」への道をひらく安倍改憲に反対しましょう。全国各地の草の根から、署名運動や集会、抗議デモ、街頭宣伝、スタンディング、SNSの発信・拡散など、可能なあらゆる行動をただちに巻き起こしましょう。

                      以上

2019.10.18     戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

   声明 韓国は「敵」なのか
   はじめに

 私たちは、7月初め、日本政府が表明した、韓国に対する輸出規制に反対し、即時撤回を求めるものです。半導体製造が韓国経済にとってもつ重要な意義を思えば、この措置が韓国経済に致命的な打撃をあたえかねない、敵対的な行為であることは明らかです。

 日本政府の措置が出された当初は、昨年の「徴用工」判決とその後の韓国政府の対応に対する報復であると受けとめられましたが、自由貿易の原則に反するとの批判が高まると、日本政府は安全保障上の信頼性が失われたためにとられた措置であると説明しはじめました。これに対して文在寅大統領は7月15日に、「南北関係の発展と朝鮮半島の平和のために力を尽くす韓国政府に対する重大な挑戦だ」とはげしく反論するにいたりました。

1、韓国は「敵」なのか

 国と国のあいだには衝突もおこるし、不利益措置がとられることがあります。しかし、相手国のとった措置が気にいらないからといって、対抗措置をとれば、相手を刺激して、逆効果になる場合があります。

 特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合は、対立するにしても、特別慎重な配慮が必要になります。それは、かつて日本がこの国を侵略し、植民地支配をした歴史があるからです。日本の圧力に「屈した」と見られれば、いかなる政権も、国民から見放されます。日本の報復が韓国の報復を招けば、その連鎖反応の結果は、泥沼です。両国のナショナリズムは、しばらくの間、収拾がつかなくなる可能性があります。このような事態に陥ることは、絶対に避けなければなりません。

 すでに多くの指摘があるように、このたびの措置自身、日本が多大な恩恵を受けてきた自由貿易の原則に反するものですし、日本経済にも大きなマイナスになるものです。しかも来年は「東京オリンピック・パラリンピック」の年です。普通なら、周辺でごたごたが起きてほしくないと考えるのが主催国でしょう。それが、主催国自身が周辺と摩擦を引き起こしてどうするのでしょうか。

 今回の措置で、両国関係はこじれるだけで、日本にとって得るものはまったくないという結果に終わるでしょう。問題の解決には、感情的でなく、冷静で合理的な対話以外にありえないのです。

 思い出されるのは、安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ「相互不信の殻を破り」、「私自身が金正恩委員長と直接向き合い」、「あらゆるチャンスを逃すことなく」、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を「相手にせず」という姿勢を誇示したようにみえました。そして、六月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。

 これでは、まるで韓国を「敵」のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人です。

2、日韓は未来志向のパートナー

 1998年10月、金大中韓国大統領が来日しました。金大中大統領は、日本の国会で演説し、戦後の日本は議会制民主主義のもと、経済成長を遂げ、アジアへの援助国となると同時に、平和主義を守ってきた、と評価しました。そして日本国民には過去を直視し、歴史をおそれる勇気を、また韓国国民には、戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼びかけたのです。日本の国会議員たちも、大きく拍手してこの呼びかけに答えました。軍事政権に何度も殺されそうになった金大中氏を、戦後民主主義の中で育った日本の政治家や市民たちが支援し、救ったということもありました。また日本の多くの人々も、金大中氏が軍事政権の弾圧の中で信念を守り、民主主義のために戦ったことを知っていました。この相互の敬意が、小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓パートナーシップ宣言」の基礎となったのです。

 金大中大統領は、なお韓国の国民には日本に対する疑念と不信が強いけれど、日本が戦前の歴史を直視し、また戦後の憲法と民主主義を守って進むならば、ともに未来に向かうことは出来るだろうと大いなる希望を述べたのでした。そして、それまで韓国で禁じられていた日本の大衆文化の開放に踏み切ったのです。

3、日韓条約、請求権協定で問題は解決していない

 元徴用工問題について、安倍政権は国際法、国際約束に違反していると繰り返し、述べています。それは1965年に締結された「日韓基本条約」とそれに基づいた「日韓請求権協定」のことを指しています。

 日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したままです。というのは、韓国側の解釈では、併合条約は本来無効であり、日本の植民地支配は韓国の同意に基づくものでなく、韓国民に強制されたものであったとなりますが、日本側の解釈では、併合条約は1948年の大韓民国の建国時までは有効であり、両国の合意により日本は韓国を併合したので、植民地支配に対する反省も、謝罪もおこなうつもりがない、ということになっているのです。

 しかし、それから半世紀以上が経ち、日本政府も国民も、変わっていきました。植民地支配が韓国人に損害と苦痛をあたえたことを認め、それは謝罪し、反省すべきことだというのが、大方の日本国民の共通認識になりました。1995年の村山富市首相談話の歴史認識は、1998年の「日韓パートナーシップ宣言」、そして2002年の「日朝平壌宣言」の基礎になっています。この認識を基礎にして、2010年、韓国併合100年の菅直人首相談話をもとりいれて、日本政府が韓国と向き合うならば、現れてくる問題を協力して解決していくことができるはずです。

 問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。元徴用工問題と同様な中国人強制連行・強制労働問題では1972年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、2000年花岡(鹿島建設和解)、2009年西松建設和解、2016年三菱マテリアル和解がなされていますが、その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした。

 日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在していますから、尊重されるべきです。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してないのです。日本政府自身、一貫して個人による補償請求の権利を否定していません。この半世紀の間、サハリンの残留韓国人の帰国支援、被爆した韓国人への支援など、植民地支配に起因する個人の被害に対して、日本政府は、工夫しながら補償に代わる措置も行ってきましたし、安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した「日韓慰安婦合意」(この評価は様々であり、また、すでに財団は解散していますが)も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません。一方、韓国も、盧武鉉政権時代、植民地被害者に対し法律を制定して個人への補償を行っています。こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います。

 現在、仲裁委員会の設置をめぐって「対立」していますが、日韓請求権協定第3条にいう仲裁委員会による解決に最初に着目したのは、20118月の「慰安婦問題」に関する韓国憲法裁判所の決定でした。その時は、日本側は仲裁委員会の設置に応じていません。こうした経緯を踏まえて、解決のための誠実な対応が求められています。

おわりに

 私たちは、日本政府が韓国に対する輸出規制をただちに撤回し、韓国政府との間で、冷静な対話・議論を開始することを求めるものです。

 いまや1998年の「日韓パートナーシップ宣言」がひらいた日韓の文化交流、市民交流は途方もない規模で展開しています。BTS(防弾少年団)の人気は圧倒的です。テレビの取材にこたえて、「(日本の)女子高生は韓国で生きている」と公然と語っています。300万人が日本から韓国へ旅行して、700万人が韓国から日本を訪問しています。ネトウヨやヘイトスピーチ派がどんなに叫ぼうと、日本と韓国は大切な隣国同士であり、韓国と日本を切り離すことはできないのです。

 安倍首相は、日本国民と韓国国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめてください。意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないですか。

                           2019年7月25日

呼びかけ人 *は世話人

青木有加(弁護士)秋林こずえ(同志社大学教授)浅井基文(元外務省職員)庵逧由香(立命館大学教授)石川亮太(立命館大学教員) 石坂浩一(立教大学教員)*岩崎稔(東京外国語大学教授)殷勇基(弁護士)内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)*内田雅敏(弁護士)*内橋克人(評論家)梅林宏道(ピースデポ特別顧問)大沢真理(元東京大学教授)太田修(同志社大学教授)大森典子(弁護士)岡田充(共同通信客員論説委員)*岡本厚(元「世界」編集長)*岡野八代(同志社大学教員)荻野富士夫(小樽商科大学名誉教授)小田川興(元朝日新聞ソウル支局長)大貫康雄(元NHKヨーロッパ総局長)勝守真(元秋田大学教員)勝村誠(立命館大学教授)桂島宣弘(立命館大学名誉教授)金子勝(慶応大学名誉教授)我部政明(琉球大学教授)鎌田慧(作家)香山リカ(精神科医)川上詩朗(弁護士)川崎哲(ピースボート共同代表)小林久公(強制動員真相究明ネットワーク事務局次長)小森陽一(東京大学名誉教授)在間秀和(弁護士)佐川亜紀(詩人)佐藤学(学習院大学特任教授)佐藤学(沖縄国際大学教授)佐藤久(翻訳家)佐野通夫(こども教育宝仙大学教員)島袋純(琉球大学教授)宋基燦(立命館大学准教授)高田健(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表)髙村竜平(秋田大学教育文化学部)高橋哲哉(東京大学教授)田島泰彦(早稲田大学非常勤講師、元上智大学教授)田中宏(一橋大学名誉教授)*高嶺朝一(琉球新報元社長)谷口誠(元国連大使)外村大(東京大学教授)中島岳志(東京工業大学教授)永田浩三(武蔵大学教授)中野晃一(上智大学教授)成田龍一(日本女子大学教授)西谷修(哲学者)波佐場清(立命館大学コリア研究センター上席研究員)花房恵美子(関釜裁判支援の会)花房敏雄(関釜裁判支援の会元事務局長)羽場久美子(青山学院大学教授)広渡清吾(東京大学名誉教授)飛田雄一(神戸学生青年センター館長)藤石貴代(新潟大学)古川美佳(朝鮮美術文化研究者)星川淳(作家・翻訳家)星野英一(琉球大学名誉教授)布袋敏博(早稲田大学教授・朝鮮文学研究)前田哲男(評論家)三浦まり(上智大学教授)三島憲一(大阪大学名誉教授)美根慶樹(元日朝国交正常化交渉日本政府代表)宮内勝典(作家)矢野秀喜(朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動事務局長)山口二郎(法政大学教授)山田貴夫(フェリス女学院大学・法政大学非常勤講師、ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク事務局)山本晴太(弁護士)和田春樹(東京大学名誉教授)
 

 

 国連が統括しない多国籍軍・監視団にも初参加

  ― シナイ半島MFOへの自衛官派遣とは何か

 

 急テンポで進められたMFOへの派遣
 安倍内閣は4月2日、「我が国の『平和と繁栄の土台』である中東の平和と安定への貢献」と称し、陸自の幹部自衛官2人(2等陸佐と1等陸尉)をエジプト・シナイ半島で活動する「多国籍軍・監視団」(MFO)に司令部要員への派遣を閣議決定した(期間は当面、同月19日から11月30日まで/出発は4月26日)。
 この自衛官派遣は、安倍政権が2015年に強行成立させた安保法制(16年3月施行)のうちの「国際平和支援法」が定める「国際連携平和安全活動」での初の自衛官派遣である。この活動は、個別的自衛権や集団的自衛権、国連平和維持活動(PKO)のいずれとも異なり、PKO5原則を踏まえた“平和維持活動”の一種ではあるが、国連が統括せず、任意の国による軍事的活動という政治性の強いものである。
 ちなみに旧ユーゴ紛争、特にボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争では95年に、国連PKOとは別にNATOがセルビア軍に空爆を繰り返したが、安保法制ではNATOも「国際連携平和安全活動」の対象になりうるから、自衛隊による戦闘への支援・協力は可能となっている。
 実は、シナイ半島でのMFOの存在や活動については、「地球儀を俯瞰する外交」をウリにする安倍首相の中東歴訪を記述した2018年版の外交青書では一言の記述もない。政府・外務省もその程度の認識だったのである。しかし、昨年9月に東京新聞が「政府は陸自隊員の派遣を検討」と報じた。この18年夏の時期にシナイ半島の情勢が動いた気配はないので、別の思惑からこの動きが始まったと言えよう。
  その後、情報は途絶えた感があったが、政府は今年1月22日に「MFOから司令部要員の派遣要請があった」と発表。2月2日に薗浦健太郎首相補佐官(首相案件!?)がMFO司令官を訪問、「現地は平穏との印象」と語り、2月10日には日経新聞が「陸自2人を派遣の方向」と報道。2月28日に菅官房長官が公式表明し、防衛省は3月上旬に実質3日間、10人の専門調査チームを派遣。続いて3月中旬には鈴木貴子防衛政務官がMFO司令部訪問とエジプト国防次官との会談(実質2日間)、その2週間後に閣議決定と、急テンポで派遣作業が進められた。

 役割終えたシナイ半島の停戦監視
 MFO設置の背景には、国連のパレスチナ分割決議に続く1948年のイスラエル建国以来の4次におよぶ中東戦争がある(第1次48~49年、2次56年、3次67年、4次73年)。いずれもイスラエル圧勝の結果となり、国連はそのたびに停戦監視機構などを立ち上げた(48年「国連休戦監視機構」UNTSO、49年「国連パレスチナ難民救済事業機関」UNRWA、56年「第一次国連緊急軍」UNEF Ⅰ、73年「国連兵力引き離し監視軍」UNDOF=シリアのゴラン高原、「第二次国連緊急軍」UNEF Ⅱ=シナイ半島)。
 73年の第4次中東戦争では、イスラエルは緒戦で大打撃を受けたが、反撃して勝利。米国の仲介で79年にエジプトと平和条約を結び、UNEF Ⅱは終了した。しかし、安保理で後継機関の創設が合意に至らず、両国は米国が介在するMFOを「国連部隊の任務・責任を代替する機関」として発足させる議定書を結び、82年からMFOが活動を開始した。
 平和条約では、イスラエルから返還されたシナイ半島を西(エジプト・スエズ側)から東のイスラエル国境内部まで、南北に細長いA・B・C・Dの4つの兵力制限区域が設けられ、区域ごとに駐留部隊の規模や装備、活動形態が定められており、司令部は南端のシャルム・エル・シャイフに置かれている。
 MFOの前任のUNEF Ⅱの当初予定規模は7000人だったが、これと代わったMFOは、情勢の安定を反映して2015年の12か国1667人(米軍約700人)から、17年の1163人へと縮減してきた。MFOの財政は、2当事国と米国が30%ずつを負担、残りは他国の拠出金で賄うことになっており、日本は17年度予算では490万円余(文民職員の給与と軍人の食糧調達費に限定)を拠出したが、90年代の5%以下に低下していた。
 平和条約から40年間、MFO創設から37年間、イスラエルを当事国とする“国家間戦争”は起こっていない。しかし同国は、パレスチナ占領と入植拡大(事実上の併合)、ガザ地区の封鎖と攻撃、ゴラン高原の占領、シリアやイランへの断続的空爆などを継続している。中東の他地域でも武力衝突や軍事的対峙が拡大し、人びとの生命と生活の悲惨な破壊が続いている。
 一方のエジプトは、2011年のアラブの春による民主革命、12年のムルシ―政権のイスラーム主義の政策と反対運動、その混乱に乗じた13年のクーデタによる軍事政権復活を経て、シーシー政権の独裁体制が樹立された。この政権は、シナイ半島やガザ地区近辺で活動するイスラーム武装抵抗勢力との抗争を抱え、権力基盤の維持・強化を最優先課題としている(19年4月の憲法改定で大統領任期の延長や権限拡大、軍の任務に「現体制の保護」などを定めた)。
 こうしてイスラエルとエジプトは、この40年間、相互に軍事行動を起こす意思も余裕もなく、平和条約はほぼ完全に守られ、ガザの国境管理も含め両国の協調と協力を基調としている。MFOの任務である停戦監視は、現在では実体も必要性も大きく縮減し、MFOの主力部隊を出している米国でも撤退案が検討されたほどだが、米国以外の国を信用しないイスラエルの要請で存続させられているとも言われる。

 対米協力と海外派兵の拡大が狙い
 では、こんなMFOに今なぜ自衛官派遣か?
 一つには、1992年のカンボジア派遣以来の自衛隊のウリとなった国連PKOへの自衛隊派遣が、2017年の南スーダンからの撤収で途絶えており、「自衛隊で国際貢献」という政策の空文化を何とか埋めたいとの焦りである。ゴラン高原PKOのUNDOFに17年間も派遣した「実績」は、シリアの内戦による治安悪化で2013年に撤収しただけでなく、安倍首相が親密なトランプ大統領は、ゴラン高原の占領地へのイスラエルの「主権」を認めるという併合容認に転じ、和平も国際法も踏みにじった。
 そこで、MFOは“平和維持活動”の一種であり、かつ米国・米軍が主体であるため、駐屯・活動中の米軍に寄り添い、「米軍に忠実で、お役に立つ自衛隊」を売り込むことができると考えたのであろう――「カネ以上に兵士も出す日本」として。ただ、司令部に2人だけでは実質的な支援にはほとんどならないが、MFOの役割自体が縮減している現状では、その「象徴的意味」に価値を置くという姑息な術策である。
 また中期的には、「国連が統括しない国際機関の要請」に応えて自衛隊の武装部隊を派兵するための“前例”にするという意図が隠されている。今回は2人の自衛官が小銃と拳銃を各一丁ずつ保持する程度だが、「国際連携平和安全活動に武器を持って自衛官が参加した」ことに変わりはなく、今後はどの地域の各種の「国際連携平和安全活動」に重火器などで武装した自衛隊の実戦部隊が参加するのも、「前例がある。単なる量的違いだ」と強弁することになりうる。

 イスラーム武装勢力と自衛官の武器使用
 MFOでは現在、武力紛争再発のおそれがきわめて小さいので、自衛官による武器使用の場面はほとんど想定されていないようである。しかし、MFOの活動エリアであるシナイ半島では、イスラエルとエジプト政権に対して戦闘を挑むアルカーイダ系やIS系とされる武装勢力が活動している。彼らが武力攻撃や兵力の移動などを行っても「平和条約違反」とはならないが、武装勢力に対してエジプトまたはイスラエルが軍事行動を起こせば、「停戦」にも微妙な影響が生じえよう。
 鈴木政務官は帰国後、「シナイ半島南部はおおむね平穏だが、北部は注視が必要」と述べたが、その意味は、ガザとの国境地帯の情勢やシナイ半島で活動する武装勢力の存在による「治安問題」への懸念である。このため政府の論法は、自衛官が派遣されるMFO司令部は「南部にあるから安全」というものである。しかし19年4月、IS系武装勢力は「シナイ半島南部に活動範囲を拡大する」との方針を表明した。
 武装勢力の攻撃がMFOにも向けられた場合などでは、自衛官による武器使用の可能性が出てくる。この場合、政府は自衛官の行動を「自己防衛のため」と説明するだろうが、MFOの軍事的対応の規模や程度によっては「シナイ半島での治安維持作戦」の様相を呈し、自衛官の武器使用もその一環と受け止められかねない。すなわち、「武装勢力に武器で対抗する日本の自衛官」という姿になる可能性もありうる。そして、この場合も、政府は「武装勢力は国家または国家に準じる組織ではないから、自衛官による武器使用は武力行使にあたらない」、「武装勢力はエジプト政府でもイスラエル政府でもないので、中立原則は保っている」などというコトバでごまかそうとするだろう。
 なお、MFO司令部への派遣は「11月30日まで自衛官2人」だが、政府の実施計画では「交代要員」や「連絡支援要員」、「関係行政機関の職員」、さらには物品・役務の提供について「国以外の者」(民間人)の協力を求めることができるとされており、期間や関係要員の拡大ができるよう設定されている。
 このような危険性は、次回以降の多国籍軍への自衛隊派遣が「部隊派遣」となった場合に、さらに大きな現実性を帯びてくるだろう。自衛隊の武装部隊が、他国の治安維持を武力で行う――安保法制が開いた危険な道の「前例」が、新たな可能性として追加されたのである。

             
<筑紫建彦 2019年4月28日  記>           

 
 
声明・憲法審査会の再始動に反対する

                   戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
                            安倍9条改憲NO!全国市民アクション


 いま198通常国会の予算審議が終わった隙に、与党などから衆院憲法審査会の再始動の動きが強まっている。
 衆院憲法審査会の森英介会長は3月28日に続いて、この3日にも野党の意見もきかないまま職権で幹事懇談会の開催を決めたが、与野党の合意に至らず開かれなかった。
 憲法審査会がなぜ開催できないのか。与党などは「職場放棄」などと野党の対応を攻撃するが、それはまったくお門違いだ。
 第1に、ほとんどの世論調査をみても、政治に求める政策の優先順位では「憲法改正」は最下位だ。いま憲法改正を急いでいるのは安倍首相らだけだ。
 憲法審査会が容易に開催されない第2の理由は、内閣総理大臣たる安倍首相がこの間、繰り返し憲法99条に違反するおそれのある改憲を求める発言を重ね、これを巡って「憲法論議のための静かな環境」が醸成されていないためだ。
 安倍首相は今年になってからでも、1月5日の下関市の後援会での挨拶、通常国会での施政方針演説、2月10日の自民党大会での挨拶、通常国会での予算委員会での答弁、3月17日の防衛大学校卒業式での挨拶などで、改憲や改憲を示唆する演説を繰り返している。これは断じて容認できない。
 とりわけ自民党大会で9条改憲の口実に「自衛隊募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否している」ことを挙げたことは重大だ。これは全く事実と異なっている。首相はのちに「都道府県」を「市町村」と変更したが、問題は同じであり、このフェイクについての首相の謝罪がない。岩屋防衛相すらこの首相発言の誤りを訂正せざるを得ない始末だ。
  こうした憲法99条違反にかかわる一連の首相の言動の掘り下げた検討と謝罪なしに、憲法審査会が開催できないのは当然だ。
 憲法審査会は2000年の憲法調査会発足以来、「最高法規である憲法に関する論議においては、政局にとらわれることなく、憲法論議は国民代表である国会議員が主体性を持って行うべきとの共通認識に基づき、熟議による合意形成」を重視するという建前で運営されてきた。
 党利党略で、この原則を破り、官邸の意思を忖度して、憲法審査会の正常な運営を壊してきた責任はあげて与党、自民党にある。正常化を望むなら、まず自民党がその環境をつくり出すべきだ。このまま憲法審査会を開くことができないのは当然だ。
 まして昨年の臨時国会期間に、野党の同意がないままに森会長が職権で審査会を開催し、のちにこの乱暴な運営を謝罪したばかりだ。いままた、与党などがこの誤りを繰り返そうとしている事態をみて、その性懲りもない国会運営に唖然とせざるをえない。
  憲法審査会は再始動させるべきではない。
  安倍首相らは憲法違反の改憲策動をやめよ。

  与党改憲派は民意を尊重せよ。
  2019年4月3日 
 
 
日本国憲法は、「世界に先駆けて平和の思想を示す憲法」です。 
 日本に住む人だけでなく国際的にも「世界人類の共有財産」と考える多くの人々がいます。
 「新しい人権」と呼ばれる諸権利も、現憲法を生かせば十分に保障される規定がそろっています。
 「私・たち」にとって、現行憲法を変えるべきでなく、政治にくらしに「生かす」べきものです。


日本国憲法全文  日本国憲法全文 
上澤美男 憲法を生かす会関東連絡会               問合せ先 E-Mail: info@ikasukai.sub.jp